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コラム:整骨院(施術所)の個別指導(行政指導)

  • 指導監査
  • 2019年4月10日
  • 読了時間: 5分

更新日:2022年12月9日

整骨院や接骨院、施術所にも、厚生局による個別指導(行政指導)、監査の仕組みがあります。ただ、施術所はいわゆる保険医療機関ではなく、指導監査の仕組みも、保険医療機関等である医科、歯科、薬科のそれとは、異なる部分が多くあります。


ここでは、柔道整復師の整骨院に対する個別指導(行政指導)について、医歯薬の保険医療機関等への個別指導との違いを中心に説明していきます。個別指導のより具体的な流れなどは、以下のページのリンクが参考になります。


柔整師の先生は、整骨院個別指導の仕組みついて、きちんと理解されていることは少ないかと思います。そもそも実施されている件数が少ないですし、実施された施術所の方の体験談などを聞けるケースもまれであるためです(話したがりません。)。この点について、柔整師の協会などに尋ねることもあろうかと存じますが、以下の説明もご参考いただければ幸いです。


個別指導整骨院
柔道整復師の個別指導、監査の実例

整骨院への個別指導の医歯薬との違い

柔道整復師への個別指導の場合、まず、基本的に、高点数個別指導がなく、情報提供による個別指導のみとなります。ここが、医歯薬の個別指導との大きな違いです。情報提供による個別指導の場合は、高点数個別指導と違い、具体的に不適切な請求が疑われている状況ですので、整骨院で個別指導の実施通知が届いた場合は、特に慎重に対応する必要があります。厚生局としては、相応の理由があり、そのため、柔整師の施術所に個別指導の実施を決定していることが多い印象です。


個別指導の結果も、柔整師への個別指導の場合、経過観察と要監査なのですが、医歯薬の場合、以上に加え、概ね妥当と再指導が増えることになります。柔整師への個別指導で概ね妥当の結果がないというのは、結局、情報提供がなされている状況に鑑み、個別指導で問題が発見されなかったとしても、一定期間の経過観察が求められるとの判断だと思われます。再指導がないというのは、柔整師への個別指導の場合、単純な算定要件の誤解といった不当な請求の疑いというより意図的な不正請求(水増請求や架空請求)を疑っている場合が多く、これについては、違反が認められた場合は再指導ではなく監査に移行するということが念頭にあるのかもしれません。なお、柔整師の場合でも、経過観察の結果、必要に応じ、あらためて厚生局が個別指導(再指導)を実施できることになっています。


個別指導の実施通知の時期は、医歯薬が1か月前で、柔整でも現在では1か月前となっていると思われます。指導対象患者のカルテの通知時期は異なっています。


また、個別指導の実施にあたって、整骨院の場合は、事前に患者調査が実施されているケースが多数散見されます。したがって、整骨院の場合、患者から、厚生局から調査の連絡が来たなどとの報告があり、個別指導の実施通知の前に、個別指導の実施を予見できるケースがあります。整骨院の個別指導で患者調査が事前に実施されていない場合は、事前に実施されているケースに比べ、監査への移行の確率は高くないかもしれません。診療所や薬局の場合は、患者調査は個別指導が中断されてから行われることが通例であり、そのため、整骨院の個別指導で事前に患者調査が実施されているケースでは、診療所や薬局のケースでの指導中断後に個別指導が実施された状況と同程度の不正請求の疑いが生じている状況である、と言い得るでしょう。


個別指導の実施後、監査になった場合に、監査での厚生局による手続きのプロセスも異なっています。医歯薬の場合、保険医療機関の取消処分になる場合は、事前に聴聞の手続きがあるのですが、柔道整復師の受領委任の取扱いの中止については、係る手続きがありません。その意味で、柔整師の施術所に比し、医師などの保険医療機関等の方が、処分までに重い手続きが実施されるといい得ます。ただし、厚生局のホームページで公表され、場合によりニュースとなることは同様です。


以上は整骨院や接骨院の指導監査と医歯薬の指導監査の違いの一例ですが、このような違いが生じる根本原因は、柔道整復師への個別指導、監査が、受領委任の取扱いに係る協定または契約に基づくものであることにあります。厚生労働省としては、受領委任の取扱いの中止措置は、受領委任の取扱いに係る協定または契約に基づく措置であり、行政処分としての法律的効果を持つものではないとしています。しかし、受領委任の取扱いを中止された場合の不利益、また、中止措置についてインターネットで公表されることも考えれば、重大な不利益措置であり、厚生労働省の立場には、大きな疑問を感じざるを得ません。


私見では、整骨院・接骨院で個別指導の通知が届いた場合は、厚生局としては、施術部位などを実際よりも増やすいわゆる付け増し・水増し請求ではなく、施術所に来ていないのに来たことにして施術したことにして請求をするいわゆる架空請求を疑っていることが多い実情があると思われます。


個別指導の通知が届いた柔整師の先生は、以上を踏まえ、自分が疑われた原因を推測するとともに、速やかに、適切な準備を開始する必要があります。例えば、事務的なミスでそのような請求をしてしまっていたことに気付いた場合は、速やかに自主返還するという対応が考えられます(もちろん、施術所が不適切な施術に係る報酬を自主返還しても不適切な請求をしたことがなかったことにはなりません。)。また、個別指導では、通常、2時間のうち前半の1時間程度は教育的な指導が行われますので、その際に改善が期待できるとの印象を与えられるように、基本的な施術のルールなどについても、しっかりと確認し、担当官の質問に適切に回答できるよう、十分理解しておくこともポイントです。

 
 
 

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